拳道in中洲(12) | 炎の人生劇場

拳道in中洲(12)

大挙してかけ付けた警官隊の皆様は程なくして撤退。

逮捕は免れましたが・・・

喜んでいいのか?


依然として僕らの置かれた状況は好転するどころか、再びピンチに逆戻り。
クマ率いる荒くれ者達から脱する手段を失った今、この危機的状況を回避する方法は皆無なのか。


困惑の表情を隠せない僕とは対照的に、あきらかにおかしな表情の人間がいます。



クマ「・・・・・(*´д`*)」




何だコレ?


警察が帰った直後から、クマのテンションに異常が見られます。

騒ぎ当初に見られた怒りの表情は消え去り、カミソリみたいに鋭かった眼光は、いつのまにかうつろな乙女の様に甘い視線へと変わっていたのです。

その糖度200%の熱視線の先に映るものは・・・



「ガオォォォォ(*`Д´)」



K君です。(´Д`lll)


最初気付いた時は、にらんでいるのかと思いましたが、良く見てみると恍惚の表情だと確認出来ました。

ボクら、特にさんざん暴れまくったK君に対して怒るならいざ知らず、まさかホホを染める事になろうとは・・・。

クマに一体何が起こったのでしょう??


僕が怪訝な表情を浮かべていると、クマに動きがありました。

のそのそとゴツイ体を揺らしながら。K君のそばへと近づいてゆくではありませんか!


一瞬の静寂が辺りを包み込みます。

クマの一挙手一投足に皆が固唾を呑んで見守っていました。


クマはテンパッた顔でK君の前に立つと、思い空気を払拭する勢いで叫びました。




クマ「ちょっといいかな?」





誰コレ?


さっきまで「弾くぞ!」とか脅してた凶暴性はなりを潜め、

あきらかに恥じらいでます。


不気味なプーさん誕生の瞬間か。



当然、トランス状態の今のK君に何を言っても通用しません。

クマはそれを知ってか知らずか、信じられない低姿勢でK君をなだめ始めました。




K君「がぉぉぉぉぉ!!ヽ(`Д´)ノ」

クマ「まぁまぁ、ちょっと落ち着いてよ(;´∀`)」

K君「何だコラァァァ!殺すぞ!!」



クマ「そんな事したら死ぬじゃないか。


なんかクマのヤツ、しゃべりがおかしくなっとります。(´Д`lll)


二人の様子に、クマの部下たちも目を丸くして見ていましたが、自分らのボスに失礼な口を叩くK君にいきり立って切れてます。



部下「オヤッさんに殺すっちゃ、なんかキサマァァァ!!」


クマ「いいから!!(オカマみたいな声)


クマはそう一喝すると、再びK君に向き直り、何やら熱弁を奮いだしたのです。


クマの長ったらしい話を要約するとこうです。

○まだ若いのに大した根性の持ち主っぷりに対する賛美。
○大人数相手にも決して引けを取らない華麗なケンカ技術。
○警官に対してもビビらず、逆に向かって行った男気。
友人(僕・A君)はへタレ。


などなど、出るわ出るわのK君褒め殺しモード全開といった内容でした。


つまり、クマはK君の事を大そう気に入ったというわけです。

にわかには信じられない展開でしたが、今まさに現実として目の前で起こっている出来事でした。



こうなってくると、怒り心頭で我を失っていたK君も、次第に温和な表情に変わってきました。


なんせ彼の最大の売りは、単細胞ですから。('A`)



いくら憎き相手と言えど、ボスの意向に逆らう事などありえません。
部下たちもあちらこちらで苦笑いを浮かべています。


なんでしょう・・・

この生暖かい空気は。


すると、K君に『ジャンピング膝蹴り』を食らいさっきまで伸びていた目玉が、いつのまにか僕の傍らに立っていました。


僕 「ひゃぁっ!!(*゚Д`;)」


変な方向に曲がった鼻の目玉に思わず驚いてしまいました。



目玉「にーさんら、えらい根性やったのぉ」

僕 「いや!僕は別に!!」

目玉「まぁ・・納得できん部分もあるが、親父は一度あぁなったら引っ込まんでの。勘弁したってくれ。ははは」

僕 「は・・はい・・・。」


開戦当初の殺気満載の勢いは、目玉の体からもキレイに抜け去ってしまったようです。

目は笑ってませんでしたが。


目玉はそう言うと、ゆっくりと右手を僕に差し出して言いました。


目玉「まぁ・・仲直りっちゅうこっちゃ。」


うーむ・・・。
なんと潔い心意気!
これぞ男の真髄か!?

握手で仲直りなど何年ぶりでしょう?

少し照れながらも、僕は目玉と静かに手を交わしたのです。



僕「痛っ!?あだだだだだだ!!(゚Д゚;)」


目玉、握手強すぎ!!(*゚Д`;)

やっぱり怒ってらっしゃるみたいです(泣)




こうして今回の一連の騒動は、思わぬ形で幕を降ろし・・・


てません。('A`)


最後にどでかいオチを皆様に!!(マジで実話)




クマに気に入られたK君と僕らは、クマの提案により全員で朝食をともにする事に。

当然、車列は僕らの前後にベンツ数台が。

しかし今回はSPに守られている気分です。


車内では、フィリピンオカマバーから始まった今夜の出来事の凄さに、3人とも一様に興奮していました。


K君もすっかりトランス状態から抜け、普段の気のいいK君に戻ってます。


A君「いやぁ、今夜は歴史に残る夜やったね!」

K君「警察来た時はビビッたなぁ。」

ボク「ウソつけ!!(*゚Д`;)」


楽しく盛り上がっていると、突然ボクは重要な事を思い出したのです。

日付が変わった今日、僕はこれから仕事があったのをすっかり忘れていました。

他の二人は休みだったので、いつのまにか釣られて休み気分だったのです。



ボク「ヤバイ!!今、何時!?」

K君「7時ちょっと前ぜ?どした?」

ボク「オレ、今日仕事やった!!( ;゚д゚)」

A君「あ!そっか!!はよ帰らんと!!」



K君は家まで送ってやると言ってくれましたが、せっかく和やかになって朝食に誘ってくれた方々との関係に亀裂が生じると、再び面倒が起きかねません。

僕はなんとか電車で間に合うと二人に言い残し、ちょうど赤信号で止まった頃合を見計らってK君の車を降りました。

二人とも、なんだか不安そうな表情で見送ってくれています。

僕は『ダイジョウブ!』と口パクをしながら手を振りました。


すぐさま駅に駆け出そうとすると、車列の最後尾のベンツの窓がゆっくり開いたかと思うと、目玉が身を乗り出して僕を手招きしています。

駆け寄ると目玉は言いました。



目玉「メシ食いに行かんとか?」

ボク「いや!これからボクちょっと仕事で・・・汗」



目玉はフーンと一息付くと、黙って自分の財布を出し、五千円札を抜き取るとボクに渡そうとするのです。



目玉「これで足るか?」

ボク「いや!そんな!もう大丈夫ですから!!」

目玉「遠慮せんでええから。これでタクシー拾いなさい。」

ボク「で・・・でも・・・。」



目玉は煮え切らないボクのシャツの胸ポケットに、半ば強引にお金を押し込みました。



目玉「・・・じゃぁな。」



ゆっくりと閉まってゆくスモークガラス。


ヤダ・・ちょっとカコイイ(*゚Д`;)



ありがとう!目玉のおじさん!!

電車で帰って、お釣りをゲットするよ!!(セコイ)



と、その時でした!!!





ガッシャーンッッ!!


早朝の静寂を打ち消す、とてつもない音に、ボクは一瞬ひるんでしまいました。


恐る恐る振り返ってみると・・・・



K君の車が見事にベンツへオカマ掘ってました。


うそぉぉぉぉぉぉん!!?(T▽T)


ボクは思わず、その場から走って逃げてしまったのです (ノ´∀`*)







~後日~



K君たちが最後にやらかした、 とんでもないサプライズは、なんと奇跡的にクマの機嫌をさらに良くしたとの事でした。

さすがに追突直後、二人で道端で土下座したらしいですが、クマはあきれた表情で、


『お前は大したヤツや。』


と感心(?)されたそうな。



その後、クマとは何度か飲みに連れて行ってもらったそうですが、スカウトされそうになったので、周りの友人たちの反対もあり、付き合いは無くなったそうです。



終わり(*゚ー゚)




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