炎の修学旅行②
楽しみにしていたスキー旅行を突然変更されたあげく、担任にシバかれた僕は、頭の中が怒りでいっぱいでした。
クラスの中では、変更の知らせを受けた当初は不満を口にする者もいくらか居ましたが、そこは南国のリゾート沖縄。
次第にバカンス気分を夢見て、誰しも沖縄モードへとシフトしていきました。
そんな有り様を見ながら、
「この、売国奴めが!」などと暗い思想を抱いていたものです。
そんなある日、美術の授業で、ある企画が持ち上がりました。
何でも、修学旅行のしおりに掲載する挿絵を生徒たちに描かせようという事で、美術の授業を使って各クラス合同でコンテストを開き、上位入賞者の挿絵を採用するとともに、優秀作品は表紙を飾れるという事でした。
美術の教師は公平を期すため、自らが顧問を担当している美術部所属の生徒を参加不可にするのでと僕らにハッパをかけていましたが、自分の絵がしおりに載ったからといって大喜びするような純朴な生徒は皆無でしたので、荒れた賞レースになるのは必至でした。
当然、僕にもそんなヤル気はまったく無く、白紙で提出してやろうかなどと積木崩し的な意地を張っていました。
ところが、最初の授業が始まった矢先、僕の脳裏に一休さんばりのひらめきが!
これ・・・仕返し出来るんじゃない?(・∀・)
そうです、挿絵という媒体を使ってスキーの積年の恨みを晴らす、画期的なアイディアを思いついたのです。
仮に、この案件が成功を収めた場合、
全学年を巻き込んだジハード(聖戦)になる恐れがあります。
それほどのショッキングな内容に、自分でも恐怖を感じたほどであります。
思い立ったが吉日という事で、ヤル気の無い他のクラスメートを尻目に、かなり本気で挿絵の作成に取り掛かりました。
この復讐劇を完遂するために、まずは何としても挿絵を採用してもらわなければなりません。
幸い、美術部という難敵は今回の戦いには参加しておらず、その他の者はお話にもならない状況です。
優勝して表紙を、とまでは行かなくても、挿絵として採用されるだけなら可能性大です。
自画像を描いて提出すると、
「誰が原田大二郎を描けと言った!」と以前怒られた経験を持つ僕にとって、単なる挿絵の製作でもかなりの困難を要しましたが、なんとか描きあげました。
スウェッツ画伯作(イメージ)
沖縄という島を空撮風に捉えた会心の出来。
誰でも思いつく安易な構図に地名をふっただけの大作に自画自賛。
恍惚の表情で自信作を提出し、後は結果発表を待つばかり。
参考までに、ある友人にどんな絵を描いたか聞いてみると、シーサー(アリクイに酷似)の頭上にハイビスカス(チューリップに酷似)が咲き乱れるという、
ある種、前衛的な内容の模様。
もしかして・・・・楽勝コレ?
~それからそれから~
数日経過して、いよいよ結果が発表される日がやってきました。
やれるだけの事は全てやった・・・。
そんな達成感いっぱいの思いとともに、採用への期待はいつしか確信へと変わっていました。
普段より少し早めに家を出て、自転車を飛ばし校内の掲示板を目指します。
案の定、掲示板の周りには誰もいませんでした。
これほど盛り上がらないコンテストに改めて脱帽。
さっそく張り出された採用者表に目をやります。
佳作採用 2組○○(名前)
4組○○
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優勝 6組 スウェッツ
うそぉぉぉん!?((((*゚Д゚;))))
あんな簡単な絵で優勝とは!!
まさにバカ学校。
なんと僕の絵が表紙を飾る事態になってしまいました。
挿絵として採用されるのを想定していたのですが、思わぬ快挙です。
これはもう、復讐というより、大戦の規模になってしまいました。
嗚呼・・考えただけでも恐ろしい・・・。
しかし、今さら後戻りは出来ません。
その後、クラスメートに優勝をからかわれながら、美術教師と接見。
すぐに清書して提出しろとの事でした。
学校が終わると、すぐさま家に帰り、数年ぶりに机に向かいます。
計画ははっきり決まっていました。
ペンを持つ手の先に魂を込めます。
↓
↓
↓
↓
↓
完成
そうです。
僕の計画したしおりテロの正体・・・それは・・・
『万座毛』という地名を『万毛座』にすりかえるという
卑猥なトラップだったのです!!(|゚|∀|゚|)
(女性の皆様に陳謝)
実際の万座毛
まるで象の鼻の様な高さ約20メートルの琉球石灰岩の断崖を有し、『万人も座する草原』という原っぱに由来したとされる万座毛という名前。
全国的に有名な観光スポットを、こんな形で汚してしまうのは忍びなかったのですが、復讐の念の前に壁はありません。
翌日、バレやしないかと緊張を押し殺して、美術教師に提出。
そんな心配をよそに、ありがたいお褒めの言葉を頂き、1週間後晴れて『修学旅行のしおり』完成!
それは全学年分の、約800冊の『マ○毛』の誕生の瞬間でありました。
誰にも悟られずにやり遂げた校内テロ。
その夜は感涙で枕を濡らしたのは言うまでもありません。
かくして、僕らは800の『万毛 座』とともに旅立つ事になったのでした。
つづく
女性の皆さん、ごめんなさいね(;´∀`)
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