拳道in中洲(7)
今まさに、戦慄の公開処刑が執行されようとしていました。
ボクら3人は、約20人の血気盛んな方々に囲まれ、絶対絶命の大ピンチを迎えたわけです。
K君「離せコラァァ!!(*`Д´)」
数人の若衆に取り押さえられたK君も、ボクたち二人の元へ連れて来られ、力づくで地面にうつ伏せの格好で押さえ付けられました。
そんなK君の様子を見て、目玉はマユを細めながら言います。
目玉「・・・おい兄ちゃん。お前えらい根性しとるのう。」
K君は鬼の様な形相で目玉をにらみつけています。
目玉「お前、素人や無いやろ。どこのモンや?」
どこのもんって・・・(;´Д`)
確かにK君の凶暴さはケタ外れですが、見た目は体もそんなに大きくないし、色白で幼い顔の一般のサラリーマンに過ぎません。
同業者とでも思ったのでしょうか?
すると、K君は上目使いで目玉を見ながら叫びました。
K君「太宰府のモンじゃ!!」
それは住んでる場所でしょ!(T▽T)
頭に血がのぼっての発言でしょうか?
否、K君、本気で住む場所聞かれたと勘違いしております。
彼の眼光がそう言っております。
すると、目玉も信じられない事を言いました。
目玉「・・ダザイフ?どこの組やそれ?」
アホや・・・_| ̄|○
普通、福岡にいて『ダザイフ』と聞けば、すぐピンと来ると思うのですが・・・。
トサカ「・・・兄貴!組やないですよ!学問の神様の『菅原道真』で有名な天満宮の太宰府っすよ!!」
トサカ詳しいな。
トサカ、かなり得意げな表情でニコニコしています。
目玉「・・・分かっとるわ!ボケ!!わざと言ったんじゃ!」
絶対ウソだよ。(´Д`lll)
今、絶対本気で言ってたよ・・・。
と、突然、A君が叫びました。
A君「梅ヶ枝餅も有名じゃ!!」
ふっくらの梅が枝餅
A君泣いてました・・・。
無類の甘味党のA君だけに、太宰府天満宮銘菓の『梅ヶ枝餅』の存在を無視できなかったのでしょう。
・・・で、何の話だっけ?
トサカ「そうそう!アレおいしいよな!!」
目玉「お前は黙っとれ!!」
憧れの目玉兄貴に怒られ、チュンとしぼむトサカ
アホなやり取りに業を煮やした目玉は、突然シクシクと泣いているA君の胸ぐらをつかむと、強引に引っ張りあげて立たせ、怯えるA君をよそに、目玉はK君に叫びました。
目玉「おい兄ちゃん!おとなしくせんと連れがヒドイ目に遭うぞ!」
目玉はとうとう行動を起こし始めたようです。
言う事を聞かず、いつまでも暴れようとするK君を友人を間接的に攻撃することによって精神的に追い込もうという作戦のようです。
しかし・・・
K君「おう!はよ殴らんかい!!」
やっぱりね。(T▽T)
何度も言うようですが、今のK君にとってボクやA君の存在など、
スーパーのレジ袋ほどの価値も無いのです(大泣)
ここでK君が人質のために自分が犠牲に・・・という展開を期待するのは刑事ドラマの見過ぎであります。
現実は非情なのです・・・。
目玉はそんなK君の態度に怒り心頭で叫びました。
目玉「なら、殴ったろやんか!!!」
A君の運命やいかに!?
つづく
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拳道in中洲(6)
気分はまさにV.I.P.
車窓から望む薄い青空には、陽の光が顔を出そうとしているのに、曇りに見えるのは涙のせいさ・・(T▽T)
一体これから方々はどこへと向かおうと言うのでしょう?
暴力団事務所にて拉致監禁&暴行か。
はたまた、険しい山中にて人生にピリオドを打たれるのか。
頭に浮かぶのは悪い未来ばかりです・・・(´Д`lll)
どちらにしろ、このまま「お疲れ様でした(*゚ー゚)」と言って帰れる雰囲気ではありません。
何かされます。
何かを。
とにかく今は、車内に放り込まれた二人の状況を考えれば、ただただ前方を走る黒ベンツについてゆくしかありません。
不意に赤信号に差し掛かったのか、先頭のベンツが停車したので、極めて異質な5台の車列が一直線に並びました。
前から2台目、つまりボクの前を走るベンツにA君とK君の二人が後部座席に押し込まれているはずなんですが、真っ黒なスモークガラスのせいで内部を伺い知る事はできません。
K君はおとなしくしているでしょうか・・・。
A君は怯えていないでしょうか・・・。
あぁ、運転役で良かった(*゚ー゚)(違)
一時の安堵感にひたっていると、突然ボクの乗る車の窓からコツコツとウインドウをノックする音が聞こえました。
横に目線を移すと、そこにはトサカが『窓を開けろ』と手の平を上下に振っていました。
ウインドウを下げると、トサカはいきり立って言います。
トサカ「鍵開けろ、オレも乗る」
いらっしゃいませ(泣)
ボクが集合ロックを解除すると、トサカは乱暴にドアを開け、助手席のシートに乗るなり、土足で両足をダッシュボードに投げ出しました。
トサカ「ガキが偉そうにこんな車転がしやがって。」
あまり気分が優れない様子でおられます
でもそんな事言ったって、これはK君の車であって、
ボクの愛車はベンツSクラス(自転車)なのですから
(*゚Д`;)
信号が変わって、車列が進み始めてもトサカの粘着質なイビリは続きました。
トサカ「お前らさぁー、もう終わったよ?もう謝っても遅いよ?」
そう言いながら不敵に笑うトサカの表情は、楽しんでいる感さえあります。
終わったという事は、
始まっていたのでしょうか。・・・何が?
それからの車内での会話は、トサカの一人舞台でした。
延々と自分の事ばかり話して聞かせます。
○親の敷いたレールに乗る事を拒み、高校を入学してすぐにやめ、クマの元で修行中(何の?)というマイ・ヒストリー。
○憧れの先輩は目玉で、いつか自分も目玉の様に成り上がって見せるという決意表明。
○好きな食べ物はサクランボという自己分析。
激しくつまらんのだが。
彼がどう成り上がりたいのかは分かりませんが、現時点では
ただの話し好きなチンピラという事だけは確認が取れました。
まだまだ出世の道は険しいようです。
~それからそれから~
15分くらい走ったでしょうか?
車列の先頭を走るベンツが信号の無い場所の路肩に車を寄せました。
それに続いてボクを含む以下の4台も車を停めます。
トサカ「さぁて、おもしろくなってきやがった!」
トサカはそう言うと、エンジンもまだ切ってないボクを助手席側から引きずり降ろしたのです。
そしてそのまま首根っこをつかまれ、路上に投げ飛ばされました。
それがまるで合図だったかのように、4台のベンツから次々と方々が降りてこられます。
辺りを見回すと、そこは繁華街の外れの未開発地域だったので、うっそうと茂った雑草が一面に広がってるだけのさびしい場所でした。
もちろん僕ら以外に人の気配などありません。
半身で倒れていたボクの元に、目玉がやってきて腰を降ろしてこう言いました。
目玉「・・・殺しはせんけん安心しろ。」
一瞬、その大きな目玉がキラリと光ったような気がしました。
ボクはその氷の様な冷徹な視線に、ただ呆然とするしか無かったのです。
程なくして、A君もボクの隣に引きずられて来ました。
泣き疲れたのか、恐いくらいに無表情でアスファルトの隙間から抜き出た草の葉っぱを眺めています。
まさにボクらは絶望の淵に立たされていました。
K君を除いては。
K君「あぁ!?お前から死にたいんかコラァァ!!(*`Д´)」
K君・・・若手の構成員の方にヘッドロックをかましながら、何発もゲンコツを食らわせています(T▽T)。
それはもう・・・神々しいほどの恐い者知らずな姿なわけです。
何人かの方々を撃破したのち、数人がかりで取り押さえられていました。
もう・・・狂犬です。
A君 (´Д`)
ボク (( ;゚д゚))
K君 ヽ(`Д´*)ノ
あぁ・・・神様!゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
つづく
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拳道in中洲(5)
K君が酒に酔っているという事をすっかり忘れていました。
彼は確かに暴れん坊の称号を欲しいままにする最強の男でしたが、一度酒に酔うと理性のタガが外れ暴走してしまう諸刃の剣的な人間なのです。
当然、現在の彼は泥酔モードに移行しており、脳内を支配するのはチンピラたちに対する怒りのみ。
それ以外は皆無でしょう。
つまり、この状況は事前に予想し得る事態だったというわけです。
目玉は暴れるK君を見たあと、僕らに聞いてきました。
目玉「お前ら、アレの連れとちゃうんか?」
連れなのかって・・・一緒に車に乗っていたんだから連れに決まってるでしょうに・・・。
A君は怯えてしまって黙ったままだったので、ボクが答えました。
ボク「連れってゆうか、友達です。」
目玉「友達ゆーたっちゃ、『知るか!』とか言いよるやんか。」
ボク「・・・・。」
K君の『知るか!』は、僕ら二人をかばい、この切迫した状況を自分ひとりで背負おうなどという機転ではありません。
長い付き合いの僕らには分かります。
本気で『知るか!』なのです_| ̄|○
根はイイヤツなのですが・・・(´Д`lll)
そんな僕らの表情に、目玉は大きく息を吐き、ゆっくりと立ち上がると若と呼ばれるクマの元へ歩いて行きます。
遠くだったので何を話しているかはわかりませんでしたが、目玉の話に数回うなずくと、クマはノソノソとK君の方に向かって歩き出しました。
その様子を見ていたトサカが、小声で僕らに言いました。
トサカ「ええかコラ。ガキが極道ナメとったらどうなるかよう見とれよ。」
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
いったいこれから何が起きるのでしょうか!?
ただならぬ雰囲気に、辺りの空気が凍りついてゆくのがわかります。
クマは歩みを止める事なく、まっすぐK君の元へ接近して行きます。
風に吹かれてクマのウエービーな茶髪がゆらゆらとなびいています。
無表情の顔には、獲物を狙うオオカミのようなギラギラした目が光っています。
あきらかに殺気を帯びたクマの足音が、こちらにも聞こえてきそうなのです。
チンピラたちはK君の両腕をはがい絞めにして、ボスとの対面に備えています。
クマはゆっくりとK君の前に対峙すると、ドスの効いた声で言いました。
クマ「ワレ、このガキ。ええかげんにせ・・・」
まだクマが話を終える前に、その驚愕のシーンは突然眼前に舞い降りました。
K君「とうっ!!!」
なんとK君、
クマのミゾオチにライダーキックをクリティカルヒットさせやがったのです!!!
エェェェェ━━(゚Д゚;)━━━!?
ウソみたいにキレイに決まったライダーキックの威力はハンパじゃなっかたようで、クマはキックされた後、フラフラとのけぞりながら倒れ込み、
その場で吐いてました。
皆、一様に驚きの表情でK君を見ています。
K君はそんな雰囲気などどこ吹く風と言った状態で、相変わらず暴れっぱなしです。
K君→ ガォォォォォ!!ヽ(*`Д´)ノ
こんなにも死期が早まったと感じたのは、今も昔もこの時だけです(大泣)
直後、なぜか往復ビンタを受ける僕とA君(*゚Д`;)
ビンタを誘発したのがK君のライダーキックだったのは言うまでもありません。
_| ̄|○
予期しなかった出来事に、チンピラたちはあきらかに混乱している様子が見て取れました。
クマはよほど怒りが込み上げたのか、嗚咽のような叫び声を空へ向かって放ち、その場にいた全員に聞こえる大声で言いました。
クマ「場所移すぞ!!!!」
チンピラ各員は、クマの掛け声で一斉に背筋を伸ばし、数人の人間がどこかへすごい勢いで走り去って行きました。
K君の勢いも治まるどころか、ボルテージを上げています。
K君「おう!!どこでも行ったろうやんか!!案内せいや!!」
行きたくないよ!(TдT)
かたわらでうなだれるA君はヘラヘラと薄笑いを浮かべています。
故障したようです。
場所を移動って・・・まさか!?
まさか、事務所ってやつですか!?( ;゚д゚)
ヤクザともめると、よく事務所に連れて行かれ監禁なんかの話を聞いたような聞いてないような!?
裸に正座で縄で縛りあげられ、軟禁状態でボコボコにされるんじゃ!?
いやぁぁぁぁぁ((((TдT)))!!!
程なくして、さらに事態は現実味を帯びてきます。
K君の車の前後から、猛スピードで車がやって来るのです。
ベンツや(´Д`lll)
前後2台ずつの黒塗りのベンツが僕らの元へ駆けつけたのです!!!
K君とA君は無理矢理4台の内の1台に頭から強引に押し込まれていました。
ボクはK君の車で前後に黒ベンツに挟まれて後に続けと命令を受けました・・・。
目玉「逃げるなよ。」
どうなってしまうのか!!!!?
つづく
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拳道in中州(4)
まるで牛追い祭りの暴れ牛のように激しく抵抗し、数人のチンピラの方々に捕獲連行されてゆくK君。
ボクはただただ恐ろしくて、その場に硬直するしかありませんでした。
すると、当然のように運転席側の窓際にもチンピラさんがいらっしゃって、「開けろ!!」と叫びながらガンガンとウインドウガラスを叩いているのです。
すでに連れて行かれた二人を見捨てるわけにも行かなく、僕は要求通りウインドウを開きました。
すると・・・
ビンタされました。
社会人になって初めてのビンタやったとです。
痛さよりも恐怖が先行しているのか、不思議と痛みはありませんでした。
やたら目玉のクリクリしたそのチンピラは、運転席に入り込んで僕の胸ぐらをつかみ、言いました。
目玉「おいおい、お前ナメとんのか?あ?」
恐怖で体が自然に震えているのが自分でも分かりました。
目玉「おい!!ナメとんのか聞いとんじゃ!!」
そんな・・・舐めるだなんて(´Д`lll)
ボク「いや・・・ナメてはないですけど・・・。」
この一言が正直、精一杯の言葉でした。
すると目玉は、眉間にシワを目一杯寄せて、すごい力でボクを引っ張り始めたのです。
目玉「降りろ。いいけん降りろ。」
ボク「いや、ちょっと待ってくださいよ!?」
目玉「せからしい(うるさい)ったい!!早よ降りんか!!」
ボク「いや、ご主人!ホントもう、かんべんしてください!」
なぜご主人なのかは分かりませんが、僕は必死でした。
しかし抵抗空しくドアを開けられ連れ出される僕・・・。
その間、何回も「ごめんなさい!」を連呼していた気がします。(泣)
目の前を見ると、さっきのタクシーはすでにいませんでした。
というか、これだけの騒ぎにも関わらず、辺り一帯にはチンピラたち以外に誰一人いませんでした。
まさに中洲砂漠。
引きずられた先に居たのは、正座で泣きながら髪を掴まれているA君の姿でした(;´Д`)
A君は声にならない声で、何か意味不明な言葉を発しています。
僕もすぐさま正座で座るよう強要されました。
アスファルトに正座でいるのはかなり苦痛です。
目玉「お前ら、何でわしらが怒ってるかわかっとんのか?」
僕は正直、この理不尽な扱いを理解出来ずにいたので、何も言えませんでした。
するとA君は泣き声でこう言いました。
A君「タクシーに道を譲らなかったからです・・・。」
嗚呼、そうなのか・・・。
方々の怒りの理由はそれだったのか。
僕らに足りなかったのは『譲り合いの精神』だったのか・・・。
目玉「ちゃうわ!ボケ!!」
A君はそう怒られると思いっきりなゲンコツを食らいました。
目玉「お前ら、若が電話しよる最中にバカ騒ぎしよったじゃろうが!」
若って、あのクマみたいなオッサンの事でしょうか?
とても若と呼ばれるような若さじゃありませんでした。
不意に視線をそらすと、 若が小指を立てて自慢のヒゲを触っている姿が。
僕はそのおよそ恐ろしい風体に似つかわしくない、かわいらしい仕草に、つい笑ってしまったのです。
ボク「・・・フフフ・・・」
またビンタされました。_| ̄|○
今度のビンタはすごい痛みが走りました。
たぶんボクのアホ面にモミジの形が刻印された事でしょう(大泣)
すると、ボクとA君が怒られているところに、もう一人のニワトリのトサカみたいなリーゼント頭のチンピラがやってきました。
何か様子がおかしいです。
血相を変えてやってきたって感じでした。
トサカは慌てた表情で目玉に言いました。
トサカ「ちょ、すいません!」
目玉 「どうしたんか?」
トサカ「アイツ、ちょっと手が付けられなくて・・・。」
アイツ?
手が付けられないという事は、チンピラの仲間の事じゃありません。
ボクはトサカが走って来た方向に振り向きました。
K君「離せボケ!コラァ!!(*`Д´)」
K君、まだ暴れておられました(泣)
チンピラたちも数人がかりでK君を抑えにかかってるのですが、どこにそんな力が残っているのかというくらいに暴れ散らしています。
(((( ;゚д゚)))アワワワワ
トサカ「どうしたらいいっすかね?」
目玉 「・・・こいつらの事言え。」
もちろん『こいつら』とはボクとA君の二人の事です。
恐らく僕らをダシに使ってK君を静める気です。
3人の田舎侍VS20数人のマル暴
ここはどう考えたって勝ち目はありません。
ならば、被害を最小限に抑える事が急務であります。
今は方々を刺激してはいかんのです!!
トサカは目玉に軽くうなずくと、暴れるK君の元へ小走りに向かいました。
頼むぞK君!!
今はツライが、そうするしかないんだ・・・。
僕らのためにも、怒りを静めておくれ・・・・・。
トサカ「コラ!ガキ!!あの二人がどうなってもええんか!!」
K君「そんなん知るかボケ!!」
A君 (TдT)
ボク (T▽T)
つづく
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拳道in中州(3)
もちろん本物のクマがいたわけじゃございません。
クマのごとし風体の男がいたのです。
タクシーの陰になっていてちらりとしか見えませんでしたが、一瞬でも強烈なインパクトを放つクマ。
ウエーブのかかった肩下まで伸びた茶髪。
ダブルの紫色したスーツがはち切れんばかりに突き出した腹。
こちらをにらみ付ける鋭い眼光の下には毛むくじゃらの黒いヒゲ。
あきらかにカタギの人間ではありません。
クマはちょうど携帯電話で誰かと話している最中だったのか、耳元に手をやりながらボクたちの方をにらんでいました。
何か非常に胸騒ぎがいたします。
ボクはヒートアップするK君を静止させなければと、強い衝動に駆られました。
クラクションを鳴らし続けた後、またウインドウ越しに叫び声をあげているK君を止めようと後部座席に振り返ろうとした時でした。
クマ「ってんじゃねーぞゴルァァァァ!!」
辺り一帯に響き渡りそうな凄まじい雄叫びをあげたかと思うと、クマは持っていた携帯電話を物凄い勢いで地面に叩き付けたのです。
携帯が砕ける音が、こちらにも聞こえました。
と、その瞬間
「オラァァァァ!!!」
まるで携帯の砕ける音が合図だったこの様に、信じられない数の人間が、タクシーの死角から叫びながら大挙して押し寄せたのです。
ざっと確認しただけでも、20人は軽く超えていました。
上下スウェットの金髪頭や、ド派手な柄のシャツにサングラスした人とか、
いわゆるチンピラの方々です。
さすがにK君もその数に驚いたのか、
K君「窓閉めろ!!早く早く!!」
と、あせった表情で車内の僕らに言いました。
言われなくても、閉めますよ!(((( ;゚д゚)))アワワワワ
ボクはすかさず運転席のドアに付いているウインドウ開閉ボタンを押したのです!!
ウイーン・・・。
サイドミラーを閉じてしまいました(泣)
慌てている時の人間の行動がいかに不確かな物か。
危うくワイパーまで動かしそうな勢いでしたが、何とか運転席の窓は閉めることが出来ました。
とりあえず囲まれる前に間に合って良かっ・・・
A君側の窓がまだ開いています(*゚Д`;)
この緊急を要する事態に、A君はスヤスヤ夢の中に旅立ったままだったのです。
とっさにK君が叫びました。
K君「バカ!!運転席から閉めれるやろうが!!」
この言葉にハッと我に返りました。
そうです、車内の窓やロック関係の操作系は全部運転席ドア集合しているのを忘れていました!
ボクは激しい動揺を必死に抑え、K君に言われた通りすぐさま助手席側のウインドウ開閉ボタンに震える手を伸ばしました!!
ウイーン・・・。
K君「アホ!!開いてどうするとや!」
やってしまいました。
ボクはあまりの切迫した状況に、極度の緊張からか操作を誤り、K君がせっかく閉じたはずの後部座席のウインドウを再び開いてしまったのです。
_| ̄|○
時すでに遅し。
野獣と化した暴徒は、次々と僕らの車を取り囲み、開いたままのウインドウからA君・K君の両名を引きずり出しています。
流れ的にボクの行動は、
方々の手助けをした形です(。´Д⊂)
まるで暴れ馬のようにジタバタと動くK君の両足が、スポンッ!と窓から消えた様。
夢の国から突然むなぐらをつかまれ現実世界とともに車外に引きずり出されたA君の表情。
今でも鮮明に覚えている、
最凶のシーンです。(´Д`lll)
そして、暴徒の毒牙は当然ボクの身にも降りかかってきたのでした・・・。
つづく
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